日本酒製造など体験してきました。

山里の小さな酒蔵。
ささゆりが咲き、ほたるが飛び交う・・・・
蔵元の地名は神水(かんずい)
澄みきった空気と清冽な水に 越後杜氏が出会い、銘酒「孝の司」が生まれる。

こんな煽りをしてますが要はド田舎。愛知県でも有数の僻地、額田町まで日本酒を造りに行ってきました。


ようこそ。古めかしい倉庫良い水が取れるらしい


日本酒造りって言ったって、何をするのか普通は知らないわけで。
どちらかというと工場見学のような感じでした。(意外なほど機械化されていたので)
基本的な流れとしては米を炊き、麹(こうじ)を作り、酒母(しゅぼ)を培養し、混ぜ合わせて醪(もろみ)を造り、それを絞るという感じなのですが。


米の壁ダストシュートみたい


まずは米。米といっても普通の米ではなく酒造米というデンプンの多い米が使われます。(食べてみるとちょっと硬い感じ)
精米(米の外側を削り、中心の良い部分だけにする)の度合によって出来上がる酒に吟醸大吟醸などのランク分けがされます。
ちなみに大吟醸だと50%まで削るそうです。勿体ないような。
とにかく量が違います。この日炊きあがった米の量が一トン。もはや壁。
スコップでガリガリ削りだしてシュートに入れていると、これは本当に食べ物か?って気がしてきます。
あと施設全体があちこちで動いてるポンプその他で非常にうるさいです。離れた場所の連絡は機械の近くにある電話でしか無理。


麹の振りかけ化学的側面


この米に麹菌を混ぜて、室(むろ)と呼ばれる高温多湿の部屋(35度80%位)で寝かせ(二日ほど)繁殖促進。
カビの一種である麹菌の役割は、自身の持つ酵素アミラーゼで米のデンプンをブドウ糖に変化させる糖化というものです。
しっかり繁殖すると米が粉っぽい白色に変化します。
また、これとは別に酒母酵母菌と大量の乳酸を含んだ酒のもと)を作ります。
酵母菌は、麹によって分解されたブドウ糖を使ってアルコールと炭酸ガスを発生させる発酵の役割を持っています。
この酵母菌と水、米、麹及び空気中の雑菌の繁殖を防ぐ為に乳酸を加えた物が酒母
(この辺の写真は撮れなかった・・・重要なところなのに_| ̄|○


温度管理が重要デジタル/アナログ 計測器


十分に培養された酒母にまた麹、米、水を混ぜた物を醪といい、この状態で大きな仕込みタンクに移されます。
(このタンクは本当にでかいです。無闇やたらにでかい。タンクの中には10キロリットルとか入るモノも。)
日本酒は三段仕込みといって、材料を一度に全量混ぜるのではなく三度に分けて仕込みます。(それぞれ「初添」「中添」「留添」という)
これは、一度に混ぜてしまうと酵母の活性が下がり雑菌が繁殖しやすくなる為。この行程は一ヶ月弱かかります。
「初添」の仕込 +激しく+ 撹拌中一番でかいタンク


同じ発酵酒でもワインの場合は、原材料のブドウにブドウ糖が含まれている為、麹の役割が必要無い。
この発酵を単行発酵と言うが、日本酒のように糖化と発酵を同時に行う物は並行複発酵と言われます。
手間は掛かるがその分味わい深い、とは世話役のお姉さんの言葉。
(このお姉さんが中々の強者。大学の農学部卒業後、どうしても好きな日本酒が造りたくて造酒屋に入ったらしい。
  女性にとても厳しい業界で、職人として認められるまでには相当大変だったそうです。惚れそう。)


でかいフィルターフィルター百枚の濾過器


発酵が進むと、醪は粥のような状態になる。これを濾過器にかけて搾るといよいよ清酒になる、というわけです。
この時分離された物が酒粕清酒は冬に搾られてから蔵に貯蔵され、夏を越えた秋の物が一番美味しいそうです。
(搾りたては搾りたてで風味が違って美味しいらしいですが)


直販店こうして日本酒は出来上がる一日お世話になりました


さて、一通り体験(と称した雑用手伝い)をしてきても、それを直ぐ飲めるわけではない。(当たり前だ)
故に直販店で利き酒などをすることに。吟醸「考の司」、超辛口「考の司」、大吟醸神水仕込」を飲み比べたのですが・・・
 神 水 仕 込 超 ウ マ ー 
マジでこれが米と水だけから出来てるのか! と感動してしまいました。他の物も美味しいのですが、やはり香りが違う。
後味もすこぶる良くて、度数の割にはスイスイ飲める感じでした。ううむ。
力仕事が多くて実にしんどかったけど、それ以上に興味深くて美味しい体験でした。
みんな日本酒飲もうぜ!
写真をまとめた物は例によってウェブリアルバムに。
お酒っぽいもの  (スライドで開きます)
写真が下手とか写りが悪いのは勘弁して下さい。工場の中明るくないし足場が悪くて角度が取れないし・・・
写真に写っている素人っぽい人間は友人です。作業風景その他で協力してもらいました。感謝。
ついでですが、この体験会の様子が11/24付の中日新聞地方欄西三河版に載ってるらしいです。
地元の人は確認してみるのも一興かと。(ローカルネタですんません)
  参考:お世話になった柴田酒造場の紹介
      日本酒の造り方