今日の前置き

真・声優†無双


  • 少し前、某所に投げた『ヨスガノソラ』の雑感を改変しつつ転載。ネタバレ注意。

・『ヨスガノソラ』は(多くの意味で)美事なF&Cクオリティでした。内角低めの狙い自体は良いのかなと思うけど、実際投げたのがどうにも棒球というか……ハル君に自分の事情を押しつけるヒロインは見苦しいなあ、と。眼鏡のウザさは天然でやってるとしたら凄い。後半は穹と瑛のダメさが凄い。そんな中で一番マトモなのは初佳さんじゃないか、と真面目に思う。確かにダメ大人ではあるんだけど、結局は自分一人で自分の道を決めている。


・それでも見るべきところは色々あって、瑛の前に横たわるどうしようもない潮流、初佳さんの内部に存在するぼんやりとした不安、他人のための怒りの所在に振り回されるお嬢等々、恋愛から矛先を変えると興味深いところが出てくる。
 穹の依存についてもある程度根拠のあるものになっていたから、問題のほとんどはハル君にあった気がします。しかし設定から考えたなら、ハル君が一番の地雷になるのは(論理的に)正しい。ハル君が混乱の中で大人を遠ざけた結果、彼の周辺は脆い"子供の世界"となってしまった。崩れる端から必死に積み上げても現実に追いつかれてしまうなら、どこまで逃げればいい? ここは『さくらむすび』と同じかもしれないのに。
 そんな彼にそれぞれの事情を押しつけるのは、最初から無理な話だったのです。だから自分には、彼を嫌うことができません。人として愛を向けるとしたら、それは彼しかいない。


・まとめると、ただ雰囲気を創出するだけの説得力が足らず、という感じでしょうか。言われてるほどダメじゃないとは思いますが……絵の素晴らしさがよけいに惜しさを煽る。最後まで『ホワイトブレス』と似た印象になってしまったのは偶然か必然か。