映画 『秒速5センチメートル』 関連コメント(ネタバレ)

 「秒速5センチメートル」は、僕は鬱になると思ったので見てはいませんが、話の筋を聞いたり、他の人の感想を読んでるとやっぱり色んな事を考えさせられちゃいます。僕は、この類の話を経て人は成長するんだ、って言われると、単に要領良くなってるだけだろ、と怒ってしまう性質の人間なんですが、要領が良くなる事じたいは別にそこまでは悪い事だと思ってませんでした。勿論、好きにもなれませんが。だけど、この話の主人公はそんな感じにもなれず最後まで駄目駄目っぽそうだ、と言う感じの感想が多くて、何か見てもいないのに鬱になってきました。
 と言う前置きは置いておいて、この映画関連で1つ本当に頭に来た事があって、映画の感想の中に「こんなのは本当の恋愛じゃない」と言うのがあったんですよ。僕は別に、この映画で書かれた事が本当の恋愛だ、と言いたいわけじゃないです。でも、やっぱり要領が良くなる事で、特に本人の自覚の無いレベルで、失ってしまう物ってあると思いました。そう言う意味ではこの映画はそれを思い出させてくれる良い映画なのかも。

 そこまで理解しているのなら、実際に見てもそれほど鬱にはならないのでは。貴樹は最後まで成長しませんし、何か素晴らしいモノに目覚めたりしません。一つの想い出のために人生の可能性全てを壊してしまった人間の話。例えば花苗に救いを見出してもよかったし、明里の記憶を切り捨てても良かった。それでも止まったままでいる人達にとって、この作品は必要なんじゃないでしょうか。

秒速5センチメートル見てきました。 ゆっくりと閉塞していく貴樹、会社を辞め「壊れていく」描写には驚きましたが背筋が震えるくらい共感しました。ああ、形は違えど私は同じなんだと。 私がこの作品に感じたのは人間関係の美しさと恐れだったと思います。
>この作品の話を徹底的にしたい時はまずそれぞれの過去を晒す必要がありそうだ
ここまで書いてホントにそう思いました・・・管理人さんの考察力には脱帽です

 現象としてはそれほど特別なモノではないと思います。それでも "止まってしまった" 貴樹に対して共感するかどうかは、やはり個人の経験によるのでしょう。明里の重力を創り出したのは貴樹自身であって、普通の人間にとっては乗り越えられて当然の壁を高いものにするのはやはり受け手自身。