柔らかな風に抱かれ あなた想う心切なくなる

 昨日は仲間内で『遥かに仰ぎ、麗しの』に関する討論会などやっておりました。毎度ながら熱いトークの出来る作品で、その時のメモ内容から少し転載。ネタバレ有り。


 途中でエロゲ音楽批評になったり『カルネージハート』の話になったりしたけど、共通認識が得られたのはどうもボーカル曲が弱いという点。今までの流れとは少し違っている。『ゆのはな』もボーカル曲は弱かったが、おね星〜プリワルでNANAを使って非常に印象的なボーカル曲に仕上げた椎原・たけまさラインとは対照的。


 本作のED曲「with a smile」を往年の名作『家族計画』のED曲「philosophy」に差し替えると合うのではないか、という件。『家族計画』が "愛されない者" であるとか "弱者の抗い" "血よりも濃い絆 を描くものであって、同じ要素を持つ『遥かに仰ぎ、麗しの』に驚くほど適合する。基本的には司の立場から見られる歌だが、「どこにも無いと 目隠ししてた」のは栖香、「信じることも 上手く出来ずに」いたのは梓乃、「迷っていた僕のため 泣いてくれた」のはリーダさん、そして「悲しみさえも 未来を照らすこと」を教えてくれたのは美綺――このように解釈すると面白いのではないか、と思う。この件についてはしばらく主張を続けていきたいところ。


 今回は自分以外の2人が本校派、しかも揃って殿子派だったので議論の半分が「殿子可愛いよ殿子」で覆い尽くされた。例えばシナリオ込みで考えた時には、どうしても殿子は弱くなるだろう。しかしあのシナリオは殿子自身の可愛らしさを阻害しない。みやびシナリオはリーダさんとの間で印象の分散が起きるので、悪い意味で "象徴的" なキャラになってしまっている。分校系のキャラが人気的に弱いのは、シナリオの構造上どうしようもないのではないか。栖香は好き嫌いがハッキリ分かれそうなキャラであるし、邑那や美綺は大人過ぎる。聡く、その上で甘える子供という要素を強く持った殿子には、人気が集中して当然だろう。


 本校系への再評価が必要かも知れない。この辺りは今後の課題。