PULLTOP 『遥かに仰ぎ、麗しの』 に関するレス (ネタバレ有)

 少し前のコメントで教えていただいたのですが、『オロチのまどろむ庭』八岐さんのリーダさんSS「トライアングル・クレッシェンド」が素晴らしいリーダシナリオになってる件。SS本で名前は知っていたものの、アンテナの高さが足らず。これは続きが気になる……


 ここからはコメントレス。結構長くなってしまったなぁ。『ef』関連とか他の作業の進捗に若干の影響があるんだけど、なかなか止められない。後を引く作品ではあるのでしょう。 ※追記:記法が乱れている部分を修正しました。

遥かに仰ぎ、麗しの」、か……。自分はシナリオ中の栖香があまり好きになれなかったな。(よく出来てる子なのは確か、かと)
そのぶんエピローグの栖香はちょっと爽やか、と言うか穏やかな感じになって好きなんですけどね


実のところかにしのは尻穴奴隷が個人的に受け付けず、みやび様ルートにおける司が駄目すぎでやる気がなくなり放置していたり・・・。
でも大丈夫、みさきちは大好き、ああゆう娘は不幸になっちゃいかんのです。

 シリアナードの人は都合上シナリオの情報量が少なかったから、受け入れられにくいのかも知れませんね。キャラとしては大好きなんですが……そう、美綺シナリオの時の栖香は特に可愛らしい。栖香・美綺姉妹のアフターシナリオも素敵かもしれません。

やんややんや乙
何故奴らに立ち絵が無いのかと小一時間。
あのキャラの濃さ、脇にしておくには勿体無すぎる声優陣。あれに立ち絵を加えればヒロイン達を喰える程度の人気は出たんじゃないかと思えます。
というかあの問題児達でゲーム1本作れると思うんだがどうか。

 冷静に考えれば、彼女達に立ち絵がないのは仕方ないと思います。今回の作品では外因が少なく、彼女達の個人領域に強く踏み込む必要があるから。物語の動機にならない部分にリソースを割くのはどうかな。司が皆のヒーローになる話じゃない。
 しかし理屈は抜きにしてあいつらは最高ですよね。攻略キャラが12人いるゲームでもいいくらいだ。個人的には問題児同盟の大銀杏と双子が好きなのですよ。つーかどう見ても全員攻略キャラだろ……声優的に考えて……

PULLTOPの名を知らしめるため友達に布教したら会う度に殿子殿子言ってくるようになりました。ちょっとうざいが、まあ実際お父さんプレイも悪くはない…か?ま、割とかにしのは愛されてるようで嬉しいなあ。

 薦めといてウザいとか言ってやんなw 殿子を愛してるんですよ。リーダさんは別格として、俺も殿子はかなり好きです。嫉妬深いところとか。しかしみやびと殿子は人気投票でも熱いのに、梓乃の話題が全然ないな。ネタにされない分邑那より地味なのか? 梓乃はこの作品に必要な人材でしょうに。

>金髪ロリの双子を選ぶぜ!
>時代は幼女(誤字に非ず)
おかしいな・・・Girl's Side希望なのは俺だけですか・・・?
上司・先輩・後輩・弟・パパx司総受け。ドン引き。

 自信持っていいぞアンタだけだから。みさきちパパとワンボに前と後ろから責められるがよい。

> かにしの
司がヘタレ主人公らしくヒロイン達に恋をして奮闘している分校の方はともかく、本校の方は事の顛末を振り返ってみるとヒロイン視点のせいもあってか、最終的にはヒロイン達が司を攻略してるような話だった気がしないでもない。

 司の性質上、最終的には受け身になってしまうからかな。分校系では彼女たちを追いかけている内に、司の中の過去も、光の当たり方が変わってその姿を変えたのかも知れません。そう考えるとある程度過去は解決されている? 引き続き検討。

遥かに仰ぎ、麗しの
誰も言わないからいうけどさ、殿子シナリオのHシーンはどうよ?フェラ音さ、声入ってないじゃん。もうあういうのってさまじで萎えませんか。「愛します」とかいってんのに大人の事情か本人の技量がないのかしらんが、シナリオ上ではフェラしてんのにただひたすら無音。ぺちゃ、とかぴちゃ、とかテキストのみで逝っちゃう司とかもうね・・・セルフフェラかとバカかと一気に醒めたわ!だから殿子の声優マジ嫌いになったな、中途半端な姿勢でエロゲ声優やんなと、不愉快だからできねえならフェラシーン入れんな、以上。
ていうか俺どこの巨匠だよwってくらい偉そうだけど、PRISMARKでモ○ーイがやってたから特定キャラにHシーンなかったり、エロゲ声優を舐めすぎ(上すぎるのもあれだけど)エロゲはエンターテイメントなんだから(と俺は思う)観客を楽しませても、決して不快にさせてはならないいうという原則を怠ってはならないと思うんだ。

 まあそこまで強くは言いませんが、確かにエロゲではエロまで含めて初めて評価になるとは思う。(栖香の中の人の隠語乱射を見習え、とまでは言わないが) ネガティブな意見も面白いですよ。

かにしのと言えば http://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=7402&uid=bowmore 本編も好きですが、たまたま見つけたこの方の感想がトテモ好きなのです。 酷評やも知れませんが、こんな長くて深い感想は愛がなければ書くことはできないでしょう。 自分はbowmoreさんやSu-37さんのように深く考えてゲームしていないですなぁ・・・。 余談ですが、みさきちにあんまし人気がないのは、キャラとして完成しすぎているせいではないかと、個人的には思います。

 ウチでやってるのはこういう"批評"ではないので、切り口が違って面白いですね。元々自分は批判体質なので、この方のレビューには頷く部分も多いです。(まあ、自前で批評を書くと大変見苦しくなるのでやりませんが。現実ではいつも悪いところを見つめなきゃならないので、創作では片目を瞑ります。理性的になりすぎると、外したときに痛い妄言になってしまいますから)

 そう、本校系ルートではヒロイン及び司にまつわる問題をダイレクトに解決しない。分校系を先にプレイした俺にとっては『遥かに仰ぎ、麗しの』はヒロインありきの物語で、司の存在が大きくなりすぎる本校系に違和感が生まれたのでしょう。それでも司を書ききるならば、その動機は「愛されることに対して臆病」という綺麗な概念ではなくて、初期の梓乃のように醜い呪いの言葉であってほしかった。そうすればもう少し物語の中に入っていけたかな。ついでに言えば司と比べた美綺の成熟具合について記述してあるのは素晴らしいですね。(ただまぁ、坂水はどうでもいいんじゃないかなぁと思いますが。それこそ奴は"悪意"という舞台装置で、人として対決すべき本質を持たない)

 健速氏の、テーマを思いっきり前に押し出す作風は短い作品の方が合うんじゃないかなと思います。今回のように長くなると、ちょっと一本調子になりすぎる感じ。「主人公以外のキャラは駒、あるいは狂言回しでしかないのだろう」というのは真理なのかも。丸ちゃんについては中盤の構成はマジで何とかならんのか、とは思いますが終盤への盛り上がりとその展開は好き。相性の良くない組み合わせですが、この作品を語る為の良質な素材たらしめているのはこの違和感でもあるのか。幅広いファン獲得にも繋がった? この辺はまだ検討中の議題。

 滝沢の両親について、司は語られるほどに深い関係を持っていないと思います。何と言うか、司は"無制限の感情の向け合い"を恐れていただけで。目標としてはいつも心にあるし、愛されていることは自覚しつつも、親子程度の良好な関係を維持する方向で関係を成立させている。司は自分に流れている血のおぞましさに対して憎しみを感じると共に、相手の期待の重さ、自分の期待の重さを支えきれないと知っている。防衛本能としてはある意味賢明とも思えます。1mmのズレも許さない、ズレてしまったら戻らない。そう信じている司には。それはトラウマ的な、"解決すべき問題"とはちょっと違う気がする。この辺りもまだ要検討。

 梓乃の家族云々は確かに見当違いだ。しかし司を救ったのはその理屈じゃなくて、熱意そのものではなかったか。俺自身、梓乃が「血の繋がった家族を〜」と発言した部分は重要でないと思って検討もしてませんでした。それより、選択を迫る梓乃が司を変えたのではないかと考えています。相手との相互理解以前に、司にはその熱情が足りなかった。今までと同じパターンで手を放しそうになったところで、司は手を掴まれてしまったから。

 更に言うなら、昔のトラウマに正対する必要なんて無いでしょう。問題をすり替えて、問題を忘れることが出来るのが人間じゃないのかな。梓乃のように向き合うのもやり方の一つだしその心意気は愛すべきもの。しかし、殿子やみやびのように、全てを覆い隠す程の気持ちを向けてあげることを否定されたら、私達は何に救いを見出したらいい? 失ったものを取り戻すだけではなくて、新しいもので埋めてしまうのがいけないことか? 忘れてしまえる幸せを欺瞞だというなら、殆どの物語が虚ろなものになりそうだ。このまま続けると人の断絶論にまで至りそうなので、今回はここまで。

 この方の書き方だと物語の"正しさ"を重視しすぎていて、作品を他人事として扱ってしまっている。エロゲという媒体は作品世界の深くまで視点を潜らせて、キャラクターとして記述される情報以上の物を引き出すべきかな、とか思ってます。ブンガクじゃないし。創り手の意図だけを勘ぐるより、生まれた作品を愛してやりたい。実際、物書きはそんなに全部計算して書いてるわけでもないしね。だから読み手の感情で書いてしまう方が無難。全体的に見て良い記事だとは思いますが、こうなるとべた褒めの感想が書きづらくなるなぁw

 深く考えながらゲームをプレイする必要はないと思いますよ。作品について書き記すことは一つの儀式で、素直じゃない人間が物語を吸収するためのプロセスでしかない。思ったまま、感じたままで良いのです。

みやびエンドは特に違和感無かったんですがね。いいじゃんか「二人まとめて」で。一般的なハッピーエンドとはちょっと違った形の幸福、ってのがPULLTOPの持ち味の一つだと思うんですが(おね星やプリワルのEDとか好きです)、相思相愛で一対一じゃないと気持ち悪い人も多いんでしょうか。 それはそれとして邑那派なんですが…まあ勝ち目はないとは踏んでましたがいくらなんでも愛されてなさすぎではないか。あんなに深くて強くてかっこいいのに!シナリオの面白さでは随一なのに!特にラストの病室の一幕の読み応えは物凄かったのに! あ、FDがあるなら「暁先生の新婚生活」か「高藤陀たちの夜」でお願いします。司&ヒロインズは本編で充分。

 あの状態を自然体と解釈するか、無理があると考えるか。その辺りは嗜好に近いので難しいですね。冷静に見て違和感を感じる人が居てもおかしくはない。邑那に関しては、俺自身は非常に高く評価しています。早く先が読みたくなる感覚はどのシナリオより強い。場面力が高い分、人気投票に弱いだけでしょう。悲観的になる必要は無いかと。
 アフターならばやはり奏の話は見てみたいですね。光一郎さんとの情事を双子にやんややんやされてしまう奏乙。梓乃と司の楽しいSM講座でも可。

すみません、一つ書き忘れてました。
私的に感じたのが、分校系と本校系に感じる差って、受け手が作品をプレイする時に、ゲームとして受け止めてるか、物語と受け止めてるか(あるいは求めてるか)ってことなんじゃないかと。ゲームなら多層構造やメタ的に話を作れるから、キャラという形を借りた世界の多面性を出せるけれど、物語はたった一本の道をストレートに進んで紡いでいくしかないわけで。
(さらにこの作品の場合はライターによって起承転結の構成の仕方によるインパクトの差もあったと思いますが)どちらが正しいとかじゃなくて、エロゲーというかノベルゲームやAVGに対して、本質的にプレイした受け手がどういう形で理解や共感をするのか(より好みなのか)ってのを、試されたような感覚がしたんですね。そしてそう感じさせるように一つのパッケージとして出したってのがまたすごいというか。そういう意味ではこの作品、受け手の嗜好とプレイの順番を十分に吟味しないと評価がねじ曲がってしまう可能性が大きいので、実に人に勧め辛い。自分は相棒というカテゴライズのみさきちは一番の大好物だし、それこそ単純なビジュアルやそのお約束でテンプレ的な性格からすれば栖香に惹かれるわけですが、本校側から始めてしまったせいで、本校の雰囲気=かにしのという形が出来ちゃって、分校側にどうも違和感を感じてしまったので。

 いや実際、本校系からプレイするのは王道だと思いますよ。初回特典の冊子でも邑那最後説がとられていますし。ルート固定もやむなしと思える構成だけに、分校系の順番を間違えると痛すぎる。司の人格をあそこまで変えてしまったのは、興味深くはありますが成功とは言い切れないなあ。読み手のスタンスを浮き彫りにする実験作という捉え方で、自分を試す道具にはなりそうだ。
 俺自身は、いわゆる一つの感情移入というのを積極的に行うタイプの読み方をしてます。作品に身を浸して、人物の思考の流れに自分を乗っけてく感じ。別にキャラ達の思考がリアルな自分のそれと重ならなくても、その"なりきり"は可能なのですが――やはり人間臭い方がシンクロしやすいのは確か。主人公が合わない場合は、ヒロインに自分を重ねてしまうのも大いにアリ。故に本校系は、自分の中ではヒロイン視点の物語です。相互な関係を強く意識できたのは分校系で、その辺からは嗜好の話に。結論は「どっちもいいじゃん」というシンプルなところですかね。

みやびはリーダさんが「自分も愛されたい」と口にするのを聞いているし、プレゼントの指輪を自分と同じく左の薬指に着けさせてもいる。そんなみやびは、自分だけが司に愛されている状態を良しとするはずがないと思います。だからきっと、みやびが司に対してリーダも愛することを求めるエピソードがあるはずで、想像するとそれめっちゃ萌えるので是非オフィシャルでやってくれ的な。ごめんなさい、酔ってます。

 延長線に3人の幸せがある、と充分信じられる。そんな貴方に向けた八岐さんのみやびアフターSSですよ。オフィシャルで出るかどうかは……PULLTOPはファンディスクをすぐに出す系統のブランドではないので、出るとしても気長に待つことになりそうです。

>今日も今日とてかにしの
昨日も送ったみさきちスキーの分校派ですが。
全部終わった後のイメージでは、文章力の本校系と構成力の分校系と感じました。
(以下分校すきすきーフィルタがかかってるかもしれません)
先に分校を終わらせたのですが、分校は基本的に全部ゲームの中で完結しますが、本校組は盛り上げる為の設定として使った設定を消化しきれてない感がありました。それでもみやびルートはアフターの余地と考える事も出来ましたが、殿子シナリオの終わり方は……。流れそのものは好きだっただけにがっかりした。
( Д )゜゜
 ↑
エピローグに至る過程がFly me to the moonした時の私
また、分校系のほわーっとした感じが好きだった私としては、絶対悪がある本校系に馴染めなかった事もあります。その分本校系の方が盛り上がりがあり、分校系の評価が下がり気味な理由にもなっているのでしょうが。
司に関しても、分校系の司が良いという訳ではありませんが、私も本校系の司が苦手です。
完璧超人である事は問題じゃないのですが、何というか……司が全肯定されている印象や、いつもほぼ正しい立ち位置に居る事に気持ち悪さを感じたり。頑固というか、変わる事はあっても成長しない様に見えたところも駄目な理由の一つかも。
何よりあの強迫観念がシーンを盛り上げる道具にしか見えない事がもう。
返せ、みさきちの想いを返せよぅ……ってそうか、みさきちスキーだから本校司に苦手意識を感じるのかもしれませんね……とりあえずそういう根幹に関わる事くらいはもうちょっとリンクさせておいて欲しいです。

 みさきち好きは本校系司と相性悪し、か。それはおそらく真実に近いのではないでしょうか。"モノクロームの世界"から"優しい世界"への変化は分校系の方が丁寧かな。物語の傾斜の付け方が、読者側の心情とマッチするかどうか。その辺がテーマで押す本校系の弱いところ?