空の境界 感想

ちょこちょこと読み進めてようやく読了。

最後まで読んでみると成る程、生粋の恋愛小説だったようだ。
結局殺人鬼やら魔術師やら直死の魔眼やらはギミックに過ぎなくて、
それぞれの立場、能力からそれぞれの恋い焦がれるモノを追い掛け続けた物語。
それは生きる実感だったり痛みだったり根源に至る道だったり兄だったり一人の女の子だったりするけれど、本質は同じ。
自分の中で唯一信じられる対象。巴の求めていた「本物」という表現が一番納得できると思う。
みんな幸福になりたかったんだ。道を踏み外しても、既に人ならざる存在になっていても、
たとえ届かないと知っていても。求め続ける彼らには、何とも言えない親近感が湧く。
だからなのか、読後感はエグめな内容の割に凄く爽やかだった。
この辺が那須きのこの本領なのかな。微妙な悲しさと幸せと爽やかさのバランス。
そりゃあ好まれる筈だ、と思う。 独特の世界観による説明臭さも愛嬌か。
いやーお腹一杯だ。期待通り。TYPE-MOON共々、これからもがんばれ。超がんばれ。