同人誌の価値と買い手の理屈

いつも通りの駄文。いろいろあって長いので隔離。




愛のあるツッコミ、待ってます。


・それでも同人誌、買いますか?買いませんか?
エロゲ一本と同人誌十冊の価値は同じだろうか、と考えた時点で同人の本質は理解出来ていないことになるのか。同人的な創作物に商品的・金銭的な価値を見出そうとすると、どこかおかしなことになってしまうような気がする。一昔前まで同人はコレクション的な側面が強く(あの有名絵師の同人時代の本、とか)、本の内容への注目度はさほど高くなかったように思う。最近は同人に関する議論が盛んなこともあって、同人の社会的立場やコミケ問題と共に良く議題に挙がる。
薄っぺらな本にそんなお金を出すなんて相当面白いんだね、とはアニヲタだけど同人買わない友人の言葉。彼は控えめな人ではあるけど、この言葉は随分厳しい。金額と面白さの釣り合いならラノベやエロゲから良作を慎重に抽出して購入した方が10倍はマトモである。きっと。


こういった「どうして同人作品を買うの?」という質問に対してはどう答えるべきだろう。商業的な価値を見出すことはおかしいとは言ったものの、総合的な「面白さ」という価値判断は金銭的な感覚とは切れない。(実際、手に入れる行為として買うプロセスを経るわけだし。書店委託で買う際は店舗で買うわけだからなおさら・・・)


(商業に無い、足らない、或いは商業同人関係ない絶対的な)面白さを得る為に買うのであれば、それと同時に書き手がその面白さを表現する為に書いて/描いているのであれば、別に精神論なんてどうだっていいはずなんだ。如何に面白い作品を作り上げるかに集中すればいい。
作り手が同じ高さに立っていて作品の向こう側が見えること、作品への気持ちが見えることに重きを置くなら作られる環境と売られる環境は無視出来ない。買い手の視点からすれば、普通は儲からない同人なんてものを「かいていただく」為にはこの辺の話題も積極的に振っていかなければならないワケだ。ああ、これこそ「お客様意識」の象徴! 即売会会場の机の向こう側が見えていない奴の言いそうなことである。(俺含め)


・・・もうこうなってくると買い手の考えなんてどうでも良くて、全ては書き手側の気持ちによる様な気がしてくる。面白さの側面から評価してもらえる本を書きたい/描きたいのか、自分の創作欲の消化の為に書いてる/描いてるのか。こうやって二元論で解くのは無理なのかなぁ。ずっと課題にしてるのに。


・同人とWebの作用
以下はちょっと鉾先を変えて。
実際に会場で彷徨いつつ本を探す方が好きな人間には、ショップでしか同人作品を買わない人のことは分からないのかも知れない。自分の場合の話なんだけど、やっぱりショップでサンプル見ながらじゃ買う気にならないのよ。贔屓のサークルで買い逃した本や参加出来なかったイベントの新刊を手に入れるのは楽だけどね。あ、上の話は基本的に本の形態を持つ同人作品の場合であり、同人ソフトに関してはまた異なる視点があります。創作の中でもゲーム性が要素として入ってくる場合はより難しいし、Webの作用がもっと大きくなるから。


以前mixiで同人とWebの作用について書いた自分の記事を転載しておきます。難しくって書きかけで諦めたけど。

結局、何かを作りたい人達にとって同人誌即売会という場は非効率的なんだよね。「作りたい」と「見てもらいたい」に起因する創作意欲自体は極めて簡単にWeb上で満足される。


要するに昔は「自分の創作物を見てもらう為には即売会は必須」だったのが、Webの発達によって崩されたということじゃないかと言いたいわけだ。即売会は替えの効かない特別な場ではなく発表の場の一種になった。状況の変化と共に参加する人間の意識も変わりつつある。しかし当然変化には摩擦を生じるわけで、今は古き良きコミケを守ろうとする人間と新形態にいち早く対応してしまった人間との間に結構な温度差が生じている。


自分の創作物を本というカタチにして、売れるのをスペースの中で見届ける。その大きな楽しみを(間接的にしろ)知る人間としては決してこの傾向を好んでいるわけではないのですが・・・ またどっかで同人誌作りに参加出来ないかな。実にめんどくさくてリスクの高い活動だけれど、祭り好きにはたまらないモノがある。


即売会会場に置ける発見から口コミ→一部特定ジャンル層で有名→壁配置で長蛇の列になるという流れは少なくなり、Web上で有名になったサークルが即売会で売れるという現状。即売会は販売物というカタチにこだわる人達の発表会であって、交流会としての側面はどんどん薄れている。これは米沢代表言うところの「お客様意識」問題にも大きく関わってると思う。あとはリアルコミュニケーションを嫌う人達。Webから外に(作品も、それによって生じる関係も)持ち出したくないと考える人もいる。
(Web自体も口コミ効果を持つだろうって意見もあるだろうけど、この場合の「Webで有名になる」というのは日記サイトとかCG系及び同人系ニュースサイト発だったりするケースを指す。影響力を持つ存在としてWebの作用を語る時、ニュースサイトの存在は欠かせないと勝手に思っています。特にヲタ界隈。)


今更何を、という話ですが。
そろそろ夏コミ遠征の予定を立てないとなぁ。今年こそはニューサー(某有名サイト管理人が考えたニュースサイト管理人の略称)として評論ジャンルに注目したい。自分の守備範囲に一番近い筈で、勉強になる部分も多いんじゃないかな。

そしてこれに対して以下のようなレスが入りました。mixiが特別だと言うつもりはないけど、意見を返してもらえる場が増えるのは嬉しいよね。本当に。

同人即売会の始まりが表現の場を新しく求めた世代によって発生・発展したことを考えれば、web上での活動や書店委託を従来の同人活動と異なるものであると考えるのは早計かもしれません。
同人に限らずオタク的な思考をする層は常に新しいものを求め続けていますから、その途上においてwebや書店委託での活動が活発になったとしても、その本質に変化はないのだと思います。
サークル側と読者側の交流はネットの普及によって明らかに簡単に行えるようになっていますし、 今まで知らなかったサークルをwebで発見することも増えています。こういった良い面に対して、webでサークルの内側の嫌な面が見えてしまったり、あるいはweb上での叩き合いや粘着に発展したりと悪い面があるのも確かですが。
一番変わったなぁ、と思うのはやはりサークル側の『売り切りたい』という欲求と、読者側の『楽に手に入れたい』という欲求が以前に比べて増大していることだと思います。これはもう世代的に考え方が根本のところで異なるのかも知れないのですが、読者側は、努力して同人誌を手に入れることに対して、肯定的ではない雰囲気が強くなっていると感じます。
そこには転売厨の問題や、サークル側の商業主義への傾倒があるのでしょう。
『即売会で買わなくても、このサークルは委託するだろう。ダメならヤフオクだな。』
『即売会で売り切れる量だけ搬入して、残りは委託で捌こう。』
という意識が浸透して、同人誌の現物を自分の手で確実に確保することや、自分の目の前で多くの本が買われていくことに対する熱意が減退しているのは確かだと思います。
かつてのオタクがコレクターとしての趣向を色濃く持っていたのに対して、現在買い専をしている側の何割かは『立ち読み主義』とでも言うべきスタンスで臨んでいるのだと思います。
『中身さえ読めればいいや。』『本を買って置いても部屋が狭くなるだけから読んだら売ろう。』
そういった非コレクター層には即売会で何時間も炎天下並ぶというのは無駄なことに見えるのかもしれません。
並んで買うことを必然と考える世代の一人としては、
ただの展示販売会になっていく即売会の現状は寂しいものですし、
委託販売の拡大は痛し痒しといったところです。
でもこれだけ間口が広がって、一般化しつつある同人は、
徐々にその特色を失って陳腐化してしまうのは、
残念なことですが必然なのかも知れません。

んで、自分が返した返信です。

俺は「創作する」という側面から捉えたつもりでしたが、確かにこういう見方も大いにあると思います。どちらかというと買い手、参加者的な立場から見たカタチになってるのかな?


ヲタの非コレクター化という傾向と現象は最近顕著で、メーカー側は色んな手段でユーザーに金を落とさせようと努力しています。(実際俺もこの類に入ると思います。セングラというトラウマがあるにせよ、関連商品を根こそぎ集めたりそれをいつまでも大事に持っていたりしたい気持ちはほとんど持っていません。)


この傾向は、ヲタの中の人の感覚がシビアになってるのが原因と捉えてまして。
実際にお金を使うに当たって、「面白くないモノ役に立たないモノの為にお金を使いたくない」という思いが大きくなっている様な気がしています。それに加えて所有そのものに喜びを見出す人が減って、次々に興味の対象を入れ替えて色々な作品に触れることを良しとする価値観が広まって現状に至る、と。


ユーザーの金払いに期待して資金を回収しないと成り立たないっつーのは分からなくはないけど、本質はそこじゃない。ヲタの多様性と特殊性は重々承知してても、これに関しては感情的になってしまうんですよ。
・・・全然違う話になりましたね。まあいっか。( ´∀`)

内容の是非はともあれ、こうして考えることだけでもきっとプラスになると信じて。


議論は一人では出来ないし、多くの視点を得ることがより正解に近い結論を引き出せるとは思うんだけど、こういう話は割に荒れるんですよね。このためにmixiみたいなスペースがあると考えれば、使い分けとして良い状態を保てそうなんだけど・・・招待制の所為で入れない人もいるし問題点も多い。とりあえずウチのmixiページは運営評議会みたいなモノなので、ここの更新内容に口を出したい方はじゃんじゃん来い。誘われない人は申し出ていただければ。