第六回・東海高校サタディプログラム nbkzとZUNの祭典 (長文注意)

イベントの詳細の方はサタディ・プログラム公式サイトから見ておいて下さい。
※ nbkz氏から直接詳細メールが届きました。
  指摘があったところをいくつか修正しています。


起きたのが遅かったので第二部から参加。
会場の中にはたくさん建物があるのですが、KID・minori・ZUNのゲーム系講座は
図書館講堂みたいなところで五階と隔離仕様。
開場前から階段に並びが出来ていて、200人以上はいたんじゃないかなぁ。スタッフの話を盗み聞いてみたところ
「ZUN氏の講座は予約で200越え」だったらしい。(つまり400くらいは来る?)
誘導スタッフ等の不手際とかはあまり無かったんだけど、来る人来る人並びの多さに驚いていた。
俺はこんなもんかなぁと言う印象。いや、200で多いと言うのは見通しが甘いじゃあるまいかと思う。
並んでる間、一体どのくらいの人間がニュースサイト経由でここに来てるんだろうなーと考える。
こういうのを調べていくと面白いデータが得られそうなんだけど誰もやらないね。面倒だからか。
以下講演について発言順に断片的に。何かまずい事があったら指摘して下さい。
特に今日講演した本人!チェックしてるって言うんならダメ出し Щ(゜Д゜Щ)カマーン!!


・「愛と成長とゲームの仕事」 酒井伸和(株式会社コミックスウェーブ minori事業部長)
さて本題。
10分前くらいに前から三列目の席につく。プロジェクター一台と講師用テーブル、椅子だけの簡単な会場。
その時にはWindとはるのあしおとのデモムービーが流れていた。
正式な時間(12:30)になる少し前からnbkz氏は喋り始め、最初の質問は社会人と大学生と高校生(w)と割合の確認。
社会人三割ほど居て、氏曰く「暇だねぇー。まあいいや」
ウェブサイト持ち、というかはてな運営者が居るかって話になって条件反射で手を挙げてしまった。
「チェックしてますから」とか言われた。マジか。適当なことは書けないなぁ。


パワーポイントで作成された資料を元になんとなく始まる。
タイトルに深い意味は無くて、「適当に決めて提出したら運営スタッフからダメ出しを喰らった」らしい。
基本的内容としては公式にもある通り「ゲームを作る仕事について&ゲームを作る為に必要なこと」といった感じ。
二枚目の資料ではいきなりnbkz氏の略歴が。やっぱり表にすると特殊な経歴の持ち主だというのがよく分かる。

高校卒業後某大手ゲームメーカーにデバッガとして就職。あっさり辞めて某国立大学工学部へ。
大学院修士卒業後雑誌編集をしたり辞めたり、Web製作をしたりしてる間に内職で同人ゲームを作ったりする。(BITTERSWEETFOOLS)
そんなこんなでゲーム製作を始めて気付いたらあれよあれよと事業部長になってしまった33歳。

要約するとこんな感じだ、多分。書いてもいいのかな。
なんか担当するジャンルが変わってく経緯で上司から「君はゲーム好きだろう」とか
「君はときメモ好きだろう」とか言われて変わったといういい加減な話が出てきたのには少々笑った。ていうかメモラーだったのか。


参加した代表的作品ではBSF、Wind、はるおと、efが出ていたが『ANGEL TYPE』は除外されてた。
やはり冬コミで言った通り「基本的には見守ってるだけ、お金を動かしているだけ」とのこと。
新しい作品を作る時は前作で儲けた分を使っているので、何処かでコケると資金が無くなっちゃうとか。
最初は駆逐艦くらいから始めて、いつの間にか宇宙戦艦を造っている。(つまりefは宇宙戦艦級の大作なんだな?)


ここで各作品のメディア展開の話。BSFはPCからDC,PS2に、WindはPCからPS2,DC,OVA,コミック,アニメに矢印が引いてあった。
はるおともPCから矢印が引いてあって、文字は???になっていたものの、これから何らかのメディア展開があるということだね。
efも同様にPCから矢印、その先は???になっていた。(いつか移植かアニメ化といったところか)
???にしてあるのは「企画はあるけどまだ判子は押してない」からだそうだ。いろいろ期待しておく。
WindのOVAはやはりnbkz的には「黒歴史」だって。関係ないが、Wind移植の時にサブタイが付かなかった謎は明かされなかった。
 (基本的に同じ題名でPCからPS2への移植は不可能。タイトルを変えて別作品ということにする。
   方便としてはまずDCに移植し、PS2にはDCからの移植として発表する事も)


ここからはさらに断片的なので要点だけ。見辛いけどキニシナイ。


・作品製作とは? 「何を伝えたいか」の一言に尽きる。(一貫した彼の主張。)
・現在のADVやNVLはPlayingではなくRaeding。(ゲームとしては捉えていない?)
・90年代からジャンプは「努力・友情・勝利」から「才能・カリスマ・勝利」に。(あまり関係ない話)
・ADV/NVLの作品はコンシューマーで年200〜300も出ていないけど、PCでは600〜700(全盛期は900程も)出ている。
 それが毎月最終金曜日に出るんだから・・・狂ってるよな。
   参考:03年一月から04年五月の最終金曜日発売タイトルについて (自前)
・やはりノベルの源流はLEAFにある。もっと言うなら立ち絵システムの元ネタは「ひょっこりひょうたん島」にある。
 2001年の「君が望む永遠」くらいから少しずつレールから外れてきて、今ではQuartett!Fate、はるおとなんかが先端。
・昔はうだうだやっても問題なかったが、作品の規模が大きくなるにつれて「監督」という立場の人間が必要になってきた。
・はるおとでは原画(作画)に六人も参加しているらしい。
・現在脚本の主流は、日本に古くからある「起承転結」ではなくハリウッド型三幕構成(1:2:1の割合)である。
・音響制作の仕事は声優さんに幅を効かすこと。プロデューサの仕事は表からの批判を自分に集中させスタッフを守ること。
 (第三部にて後述の「クリエイターはデリケートである」に関連)
 そして広報の仕事はショップさんに出向いて他社のチラシを捨て、他社のデモをデモ機から消し、他社のポスターを剥がし、
 それらを自分たちの作品のものに置き換える仕事。(w minoriの広報はメロンブックスCLANNADのポスターを剥がしたりしたとか。)




ここからはまた普通に。
監督、作り手の立場から見て作品製作において重要なことは何か、とか。
やはりまずは「面白くてしっかりした企画を立てる」。ここまでで50%。
そして「高度で安定した技術を持つスタッフを確保する」。ここまで出来ればほぼ出来たも同然。
スタッフを集める為には札束、人望、色仕掛け、手伝って貸しを作る等々あらゆる手を使う。
レベルの高いスタッフの友達は一概にレベルが高い(群理論)。だから人付き合いは大事。
(後述の七尾採用話に関連)
あとは監督が「ネトゲも良いけどシナリオ書いてね」とか「同人も良いけど原画書いてね」とか
「猫と遊んでないでムービー作れよ」(これは新海真氏のことらしい)とか調整していく。
予算をしっかり立てないとスタッフが飢えて死ぬので気をつけましょう。


プロデューサー、売り手としての側面から作品を売るにはどうしたらよいか。
作品に対するプロデューサーの役割は「売る為の駆け引き」、ひいては「ユーザーのコントロール」。
体験版配布、デモムービー公開、グッズ販売のタイミングを計るのもプロデューサーの役割。
プロデューサーが良ければスタッフは離反しません。(詳細は超オフレコ)
誰より顧客を理解して、多くに気を配らなければならない。そのためにはオタであれ。
これなら俺のフラグは立つ!と思うことをやればまず失敗しない。
沢山のことに興味を持って、常にアンテナを張っておく必要がある。


今度は、ゲーム業界に入るにはどうしたらよいか。
ぶっちゃけ一番ラクなのは同人サークルを立ててゲームを作ってしまうこと。
BS-i見て観鈴ちん萌え〜とか言ってないでまず作れ。話題になればすぐに商業化の声が掛かる。
専門学校や大学、高校から採用に送るのもアリだけど、それだと一番下っ端からのスタートになるから根性がないとキツい。
起業なら最初から製作に携われる。(この場合の専門学校にはF○○やSE○Aを含みますw)
学校にいるウチに出来る限り同じ趣味の仲間を作っておけ。それがいつか役に立つ。


まとめとして。
多くの問題に直面し、それを解決することによって論理性を養え。これは繰り返しによってしか身に付かない。
人の経験した事実も自分の経験として吸収する。当たり前だけど「分析 → 計画 → 推論 → 実行」の基本はゲーム製作でも同じ。
まぁ意外と真面目なお話になりましたね、ということで本編終了。
彼としては今回、自分たちの方法論を話してしまう事には結構抵抗があったようだ。
エンターテイメントとしては本来内幕を見せるべきではない、と思ってるらしい。
あまり邪推しないで作品を楽しんで欲しい、とのこと。


ここからは質疑応答タイム。ここが面白いんだけどね。
Q.キャラ別ルートを書く時の整合性について。
A.まずはフローチャートにして各ルートを突き合わせる。フローを書かないと必ず破綻する。
  文章になっちゃうと直すのがタルいのでフローのうちに直す。
Q.ゲーム製作の仕事は好きですか。
A.少なくとも嫌いじゃない。というか今やってるのはゲーム製作では無い。(ADV/NVLは厳密にはゲームではない)
  作品作りに参加することにはストレスを感じていない。ずっとやってるってことは好きなんでしょう。
Q.愛は必要ですか。
A.愛は必要ですね。(笑)
Q.コピー問題についてはどう思われますか。
A.こちらも血肉を削って作っているので出来れば止めて欲しい。でもソフトが高いのは問題だと思ってる。
  コピーでいいや、と思われないように頑張りたい。
Q.今業界に足りてない人材はどの部門(シナリオ、プログラムetc)ですか。(俺の質問)
A.全部です。でも強いて言うなら構成かな。作品と作品として成り立たせる人材が足りない。
  はるおとの時には自分で死ぬ程構成を勉強した。本当は自分でやらずにスタッフを呼びたい(札束で解決したい)けど
  優れた構成が出来る人は少ない。
Q.なぜ新作『ef - a fairy tale of the two. 』に七尾を採用したのか。その経緯について。
A.別に人気があるからとかではなくて、単純に元々知り合いでやりやすいから。
  四年くらい前のコミケかどこかで同ジャンルで参加しててそれ以来の知り合い。
  そいつがいつの間にかえらく有名になっていただけ。
Q.コンシューマがPCより表現として優れている部分はありますか。
A.個人的には表現上コンシューマの方が優れているところはないと思う。
  でも演出を統一するという意味では楽。PCの場合、スペックの幅があるのでどうしても汎用性を考えなければならない。
  ちょっと関係ないんだけど、はるおとにおいては(いつも言ってるけど)性的表現が必須だったんだよ。
  これは物語開始時点で樹さんが超DQNだから。いやマジで有り得ないくらいアホなんですよ。
  何が悪いのかすら理解してない。だから反省することもない。
  はるおとはそれに気付いて、責任を学んで大人になっていく作品だからそういう表現が必要だった。
  (これこそ「愛と成長の物語」を一貫にしてテーマにしている証拠やね。)
Q.影響を受けた作品はありますか。
A.うーん・・・(少し考え込んで)ラピュタ。これは新海君と僕に共通した作品です。
  他には山岡荘八の「徳川家康」や司馬遼太郎の「竜馬がゆく」とか好きですね。
Q.エンディングロールに出てくるスペシャルサンクスの人は何をしているのですか。何をすれば出られますか。
A.腹が減った時にメシを奢ってもらう(笑)。又は差し入れを持ってきてくれるとか。
  精神的、物理的サポートがありがたいです。
Q.今回の『ef - a fairy tale of the two. 』は2C=がろあ〜さんと七尾奈留さんを採用していますが、
  男と女の混在するイベント絵等はどうするんですか。
A.まずは結城辰也やレイアウトを切る。その構図に合わせて二人がそれぞれ人物を描く。
  それに背景美術を加えた三枚のレイヤーを統合してから上にエフェクトを描けて完成。
Q.同人で売れるにはどうすればいいですか。
A.同人で売れたいってのが間違いだと思いますけど(笑)。好きで作った物が結果論として売れるだけで。
  ぶっちゃけサン○リあたりで時限配布を十回くらいグズグズやって列を作って混乱させて
  Webで○○最高って自作自演すればコミケの壁とれますよ。
   (あくまで注目を集める手段として。作品としてある程度のレベルであることが前提。)




ここで時間になり講座終了。
可読性を無視してメモ通り書いたので、何だかレポよりnbkz様発言集みたいになってしまいました・・・
しかしやっぱり彼はエンターテイナーですね。話が上手い、面白い。
とにかく良く喋るので引き込まれちゃうんですよ。これが無料で聴けたのは大きな収穫。
しっかり資料を作って準備して話す内容も吟味してくるあたり真面目なのかな。
大学院まで行って編集経験して、という経歴からしても発表慣れしてるのかも。
とりあえずメモが17ページ分もあって大変でしたよ。
彼の称号が氏とか様から「御大」になる日も、そう遠くはない。
関係ないけど、隣に座った人が同じようにメモしてたのは笑った。妙な親近感を覚えたね。
あー!声優さんと結婚する方法訊くの忘れたー。教えてエロい人。




ZUN神主の講演分は次の日の記事になってます。よろしく。