FC02 ホワイトブレスにまつわる戯言 (長駄文注意)

主人公が死ぬかも知れない病気に掛かるという設定なのに、典型的な
「主人公に人格がない/薄い」タイプなのは構造的欠陥だと思う。
それまでの生があって死は特別なものになる筈。もっと主人公が何を考え、何を思って
生きていたのかを示す事でその「特別」を作る事は可能だったのに。
まーでも、幾ら病気は予期しないモノだとはいえ、それぞれのシナリオプロットに対して
病気が全く関係無いというのも構造的欠陥なわけで。
設定に振り回されている作品というと「Wind」が思い浮かぶ。そこから思うに。
最初にシーンありきで作られているものは比較的容易に破綻してしまうんではないかな。
WBも明らかに「言わせたい台詞」とその場面が用意されてて、それからキャラを作っていった感じがする。
そういう作り方が美しさを生み出す場合も多いけど、それが生きるのは比較的短い作品が多い。
大体長丁場を戦わなければならないエロゲにおいてはまず演じる人間ありきでないと引っ張る力が足りない。
それを踏まえて「はるのあしおと」を見てみると、やはり「Wind」とは地力が違う。
各々抱える気持ちがあって、それをぶつけて「場面」になる。(ダメダメな主人公とシンクロできるかという問題はあるが)
こなたよりかなたまで」だと主人公・遥彼方が最初の中心、「演じる人間ありき」であって
それを取り巻くヒロインが「演じる場面ありき」で彼方の生きた証となる。短い作品なので良いバランスだと思う。
それもこれも全て戯言。俺の思ったエロゲの場合に限った方法論。
こう見ると「はるのあしおと」は極めてエロゲらしい作品だったんではないかと思う。
らくえん 〜あいかわらずなぼく。の場合〜」でちくりんが
「エロゲって特殊ですよね。映画だったら2、3カットで済んじゃうところを凄く長い文章で描写してる」(うろ覚え)
と言ってる通り、一場面に時間を掛けて丁寧に描ける余裕があるのがエロゲ。
(生かせず駄文になる事もしばしばだが。らくえんの中にはクリエイターの心の声が混じってて楽しい。)
主人公の視点から徹底的に物語を観察できる感じは他のメディアではあんまり味わえないんじゃないだろうか。
ああ、それがエロゲの魅力なのかも、と思ったがまだ確証は取れない。特に益体のない話。

ホワイトブレスの良作強化案としてはこんな感じでどうだろうか。

  • とりあえず病気の設定を廃止
  • 会話文ばかりではなく心象とか思考を描いてみる(主人公、ヒロイン限らず)
  • 日常にちょっとした笑いを
  • WithYouとのクロスオーバーを進めて乃絵美を攻略可能に

いや、最後のは冗談。そんな事をしたら全国各地のお兄ちゃんに刺されてしまう。乃絵美は永遠の妹。
会話文が多くてキャラ通しの絡みが多いのはWBにおいてとても良い点の一つなんですが(ののかと未緒の絡みとか)、
代わりに主人公の存在感が無くて物凄い勢いで置いてけぼりにされる。その辺の感覚を独白等で埋めてみるとか。
後は日常のイベントにもう少し凝ったモノを用意してキャラの魅力を引き出すとか。ベースはあるからアレンジ。
しかしこの内容を実現すると何処かで見たことのあるようなゲームになってしまう罠。
オリジナリティを追求しすぎて方向を曲げるのは問題だけど、印象に残るのは一つ光るモノがある作品。難しい。