F&C(FC02) ホワイトブレス・未緒シナリオ 欲しいモノは、力づくでも。

予想はしてたんですけどね・・・何というか微妙な出来かも。簡単に言うなら良いところはそれなりにあるんだけど、それ以上にダメなところがいっぱいって感じです。
橋本タカシ氏の丁寧な絵は、髪色や肉体のリアルさと可愛らしさが同時に実現されている素晴らしいもの。神がかったCGの塗りや背景を含めて、作品全体の雰囲気作りは充分出来ていると思うんです。存在が構築されているというか。キャラ設定も各シナリオの発想も悪くないと思うし。なら何が悪いんだ、と言えば「そこまでしか出来上がっていない」事が悪い。
要は街やキャラの雰囲気という芯だけが出来上がっていて、細かなイベントやそれを語る文章の魅力、
キャラの心といった肉付けが出来ていない。だから何となく只そこにあるだけ、中身の無い
薄っぺらな作品に見える。もっと色々と出来る事はあっただろうに、中途半端なままの作品という印象が強いです。
これでは主人公の病気は本当に必要だったのか分からないし、前半のイベントは通り過ぎていくだけ。
後半は幾分かそんな印象も薄れていくのですが・・・何にせよ勿体ない作品というのが多分一番正しい。
ところで。
ブランク中、橋本氏に一体何が起こったと言うんでしょうか。まさかこんな悶絶級に素晴らしい絵を描ける様になるなんて。
変に華奢でない、健康的で生っぽい身体や表情が絶妙にエロいです。健康的な肉体は即ちエロース。
特に足はもう、一流の黒スト絵師を名乗れるくらいにエロい。黒ストだけでなくさりげにニーソ率も高いのが本物の証拠。
CGの塗りも冴え渡っていて、この作品の魅力の七割位を締めています。
未緒シナリオについて。ネタバレ有。
上にも書いた通り前半は通り過ぎていくだけなのでノーコメントで。司の家に転がり込んできてからが本番。
このシナリオの骨子はある種の堕落。司も言っている通り辛い事から逃げて、居心地の良いところで守られているのが未緒。
ズルズルと居候を続ける未緒と司の関係は逃避と寂しさの依存に近い。
ここで問題なのは、結局最後までこの関係が持続されてしまっている事だ。何度か抜け出そうとするものの司を前にして結局有耶無耶。
この弱さが未緒を司昏睡後の「司と学年を合わせる為に休学」等という暴挙に駆り立てたのではないか。
互いの絆を信じるのなら先へ進んで司を待つべきではなかったか?二人でなければ一歩も前に進めないのか?
その期間というのは未緒に何ももたらさないし、また司にも後ろめたさを背負わせる事になる。
得られるは目の前の温もりと依存のみ。ちっともスッキリしないエンディングだった。
ただ、嫌いかと聞かれればそうでもない。未緒の持つ弱さ、愚かしさ故の愛しさもきっと本物ですから。
戯れ言。F&Cの割にシステムが使いづらい。老舗はこういうところで差をつけるべき、と思うのだが。
直前に「はるのあしおと」をプレイしているとイベント絵の少なさが目についてしまうが、枚数は標準的。
表情の変化は豊かで口パクもあり、グラフィック面には文句のつけようがないなぁ。
全体に中の人の演技は良好です。草柳順子ボイスはWBの雰囲気に合わない感じはしますけど。
本当にどうでも良いですが一ノ瀬未緒は顔も身体もウチの従姉妹に似すぎです。怖ろしい。
何となくいけないことをしてる気持ちになってしまうじゃないですか・・・