Wind -a breath of heart- 感想  イイ女の条件

ここのところおねほし、とらかぷっ!、らくえん、しすエンと変化球続きだったので
直球を選んでみたつもり。「力」に関してはエッセンス程度で。
やー、なかなか楽しかった。世間的には微妙な評価のようで、それをあらかじめ読んで
脳内期待値低めにしておいたのが幸いしたのかも。
多分「普通の学生恋愛」を期待した人には多少余分はあるけど大体満足、という出来で、
「街と力の謎」に注目した人は肩透かしになってしまったんじゃないかなぁ、とか思います。

主な難点は
・イベント絵と立ち絵のクオリティが違いすぎる − 藤宮姉妹、特に望は酷い。
・地の文章がダサい − くどい、っていうか無駄な文章が多い。洗練されてない。
・関西弁が偽物臭い − 関西人が聞いたら怒りそうだ。
・声が微妙なキャラが・・・ − 後述。
・キャラ毎にシナリオの出来にばらつき − これは人による。
ってところ。ここから先はネタバレ有。ついでに戯言注意。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
文章量は愛とか憎しみに比例する。

・鳴風みなも
問い詰め&ストーカー女。実はこういう計算高い人は大好きだったりする。
全てはまこちゃんの心を掴む為に。みなもシナリオは彼女の書き揃えた台本通りなんだ。
この女、再会からキスまでの展開を十年間ずっと組み立てていたんではないだろうか。
再会シーンがあまりにも理想的であるところから疑わしい。夕日の中でハーモニカが聞こえてくるってどないやねん。
そもそもだ、みなもの父親と真の母親が旧知の仲であるところから考えても、まこちゃんの住所を知る位何でもない筈。
それを敢えてしないのは、ブランクによって再会の効果を高める為。ハーモニカの音が聞こえたのは「力」を使って
音を風に乗せていたから。幼馴染みのままではダメなのは分かっているから。
わざとらしく映画に誘ってのツインテール披露も演出効果としては古典だが効果的。キスまでは完璧だった。
計算外は予想以上にボンクラなまこちゃんと父の死。
その心の不安定が名シーンであるまこちゃん問い詰めに繋がるんだから上手くできてる。
これでみなもは地雷女呼ばわりされてるけど、悪いのは明らかにまこちゃんだろう。
キスまでさせといて何も変わらないって何だよ。父親亡くした幼馴染みを慰めに行かないって何だよ。
そっとしておいてやりたいって何だよ。代わりに妹寄越すって何だよ。いい加減みなもの気持ちなんて分かってるくせに。
こんな鳴海孝之級のヘタレは問い詰められて当然なのだ。
ここでまこちゃんを見限らずに、気持ちを確かめる為問い詰めたみなもは間違いなくいい女。
心が闇にあってもこんなに好きとぶつけられるのは、それこそ本物の証拠ではないか。
十年間心に溜め続けた想いの重さを知れ、一途であるとはこういう事だ、と思うわけです。
ツインテールの前の髪型はだよもん星人と同じ?
驚くべきは中の人がしすエンのメムと同じだって事でしょう。他には僕夏の貴理とも一緒。
エロゲ業界の作品にはもう参加されないんでしょうか。残念無念。<


・藤宮望
愛すべき一般人。病気絡み以外は唯一普通というかマトモな人。
危ないところを助けてくれた先輩に惚れるなんて妙に普通じみてますが、そこが可愛いところでもある。
みなもと違って恋愛に不器用な辺りも可愛い。賭けに拘るのは理由が欲しい、照れ隠しなんでしょう。
この人、自分とわかばのエンディングではきっちり死んでるのが凄い。
後半になればなるほどよく分からない力に流されていくこのゲームの中で強く印象に残る。
実際重篤な先天性の心臓疾患を抱えてる人間が無事生き存えることは少ない。
短い人生の中で、真と結婚して、空を産んで、幸せだったんだろうなと思わせるラストシーンは美しい。
真とわかばの思い出は、望が生きてきた証拠。望に似た娘・空は、これから生きていく者の希望。
それでも妄想してしまうのは後日談としての再婚。
みなもと再婚、というのは安易ではあるが現実的には充分正しい想像だろう。
そんなに簡単に忘れられるわけないじゃない、といえる程のみなもなら喜んで空と真を受け入れると思う。
それは裏切りなんかじゃない。絆が増えることは幸せなことだろうから。
岡田純子さんは相変わらず滑舌が悪くってさしすせそがちっとも言えてない。ダメな筈なのに、この喋りを聞いてると妙に安心する。
そういえばこの人の旦那ってminorinbkz氏だったんだ。全然知らなかった。


・藤宮わかば
通称・自己中蛙。すんげえ同意。
一体何がしたかったんだこいつは。真と望をくっつけようとしたり寝取ってみたり。
真と望に迷惑掛けて引っかき回して終わったような気がする。緑髪=地雷キャラの法則は生きているのか。

わかばが「〜ですわ」とか丁寧語で曰うたびに撲殺したくなる同士募集。
あんなに慇懃無礼でウザい眼鏡に出逢えたのは初めてです。
狙ってやってるのだとしたらこのライター凄え。

('A`)ノシ


丘野ひなた
武器:妹属性のみの貧弱キャラ。血が繋がってないとか恋愛に至る過程は普通すぎるので省略。
ただ、街の力に関する描写は一番良かった。ひなた自身頻繁に能力を使うし、真の「力を弱める力」の伏線もある。
飛行船の行方を追うシーンは、これから何か凄いことが起こるのではないかと感じさせる何かがある。
このシナリオをベースに街の謎を追うルートを作ったら、彩シナリオよりイイ解明編になったのではないかと思う。
結局ひなたとの恋愛が芯になってしまったのでイマイチ。
最初は意味不明な言動と声に違和感があったけど、「パティシエなにゃんこ」のミオの中の人だと気付いてからは平気になった。
脳内で「ああ、こいつは常識知らずの猫魔法使いなんだ」と変換すれば大抵のことは平気になる。
Hシーンのあとでひなたが恥ずかしがりながらいきなり「まことさん」と言うのには驚き。危うく萌え殺されるところだった。


・月代彩
このゲームが微妙な評価になってしまう元凶。そして電波。
他人のシナリオでは重要人物を殺したあげく突然悟りを開いて自刃で果てる迷惑キャラ。
自分のシナリオでは伏線の説明だけにダラダラと長台詞を吐く退屈キャラ。
千年以上も生きている割に頭が悪くて精神も幼いというのはどういう了見か。
こいつの役割はそっくりそのまま「街」に任せるべきだったのに。
伏線回収&ネタばらしの為のキャラ、基本的にこの作品の悪い部分担当。
望のポニーテールを切り落とすという暴挙もこいつの手による物だった。許すまじ月代彩。
理多ちんの演技が若くて新鮮だけど、正直このキャラには合ってない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

お気に入りはみなもと望。殆どこの二人で評価は成り立っている。
好きなキャラがツインテール&ポニーテールというところに自分の業の深さを感じる。
結局何が一番いけないかって、物語全体が用意された伏線を説明する為の物になってしまって本来のキャラの魅力も
街の設定も発揮されていないことだろう。故に評価出来るのは伏線に関係ないところ。
ミステリアスなところを残す、語らない美徳をもう少し考えた方がいい。
謎解きパートのヘボさ、戦闘描写のショボさ、キーになる月代彩(というか街の意志そのもの)の扱いのダメさが
改善されれば、名作になっていたんではないかと思います。無理か。
文句ばっかり言ってるように見えるけど、個人的には好きな作品。アニメも見てみたいが名古屋むりぽ。
参考:
    これが真実だ。やはりこの位の強かさがあった方が魅力的でしょ。も参考に。