バイナリィ・ポット 感想 (後半ネタバレあり)

これは良い幼馴染みゲームですねー。
何か見た事ある様な気がしたらショコラじゃん、と思い当たった。
場所選択の場面なんかはそっくりだし店長としての立場もぶつかる壁(売上とか)も。
シナリオ的には相当違いますが。
これがオーガストらしさの原点、と言われれば多分はにはには正当進化だろうなと思う。
日常と非日常のギャップがそっくりで。むしろこちらの方が設定を生かしきってるかな。
はにはにの時の様な「結局何だったのかなあ」という置いてけぼり感は少ない。
「ワールド」自体も(百年後の未来みたいな)ぶっ飛んだ世界観では無いし、
ネットカフェの店長である主人公にある程度関係してるモノだし。

キャラについて。これに関してバイナリィポットのメンバーは苦しいな。
奈都子も里美も佳澄も割と普通の人だし、千歳は圧倒的に語るべきテキスト量不足だろう。
店長とアルバイト(客)という立場的なモノも影響してるのか。微妙にテンションが上がらない感じ。
キャラの魅力で他を補って最後まで押しきれてるはにはにとは対称的。
その分優希は美味しい所をまるっと頂いて最強の幼馴染に仕上がってるような。
アレで只の腐れ縁を名乗るのは無理があるってもんだろう。さりげなく従姉妹(忘れがち)だし。
本当にフライパンを叩いて人を起こすのは初めて見た。(笑

シナリオはやはり変化球。まさかこんな平和そうなゲームの中で
陵辱シーンを二度見る事になるとは思わなかった。とりあえずさっちゃんと千歳は残念賞。
奈都子・里美シナリオはドラッグ、佳澄・千歳シナリオは個人情報漏洩とワールドでの主イベントが
バイオレンス過ぎて、結局個人の魅力はスポイルされ唐突且つ味気ない話になってしまってる。
常世界でのイベントが悪くないだけに結構惜しい。
まあ全員クリア後の優希TRUEエンドを見てしまうと、このシナリオ全体において
優希以外はサブキャラとして設計されている事が分かってある意味納得させられる。
優希にとってよーいちは(「秋桜の空に」のすずねえと同じ様に)半身とも言える存在で、
故に自らに因縁の有るワールドでもマサト=優希としてサポートし続けた訳で。
優希は「他に何も無い」ほどによーいちを求めている。怖いくらい。
その辺が最強の幼馴染でバイナリィ・ポット唯一のヒロインたる所以でしょう。

総合的には佳作で60点。CG、演出不足で-25点、優希以外のシナリオで-20点、声の豪華さで+5点。
CVの豪華さは凄い。鳥居花音日向裕羅春野日和と大御所揃い。